BS 活動報告 2018.10.07 & 11.18

10月と11月の研究会を担当しました、伊豆牧子です。

この夏に実施したSummer Retreat’18の時にトライしたものをもう一度見直して取り上げました。50:50という考え方を大事にして相手に触れるということから始めて、手のひらのハグまで行いました。

50:50というのは触れられた人が触れた人を感じて同じだけ押し返すというもの。同じだけというのがなかなか難しく、触れられてそれにお返ししようとするとどうしてもそれよりも強くなってしまったり、弱くて同じだけの力でバランスをとることが難しかったりします。それでも時間が経つと伝わって来るものを感じることができるようになってきて、自然とくっついたり離れたり、時には離れてしまってからもその50:50の関係が続いていて、外側で見ていてもその繊細な空気を感じることができました。

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そこから、人を抱きしめて、抱きしめられた人は床に落ちて、自分で立ち上がり、人を抱きしめるというワークに移りました。家族以外の誰かを抱きしめることはなかなか日常の中ではする機会がありません。家族でも、しない人も多くいるように思いますが、みなさんはいかがですか。このワークはとてもシンプルですが、抱きしめることで抱く感情は独特で、感情が先というよりか、行為により生まれる感情があるのです。抱きしめたのにそのものがするりと抜け落ちてしまって、そのかたちを残したまま動けなくなるという姿はとても儚いものに見えました。その時にもまた、感情が変化して、動かないからか日常よりも繊細に感情の変化を感じ取ることができます。

1ヶ月後のワークでは50:50の関係ではなく、会話をすることにしました。最初に触れた場所を大事にして、押す、押し返すだけの会話です。Body Synergyでのワークは日常に置き換えられることが多いと感じますが、耳を傾けることを普段どれくらいしているのかを考えさせられるこのワークはそのひとつだと改めて感じました。今回の振返りに多く出てきたワードのひとつに「静けさ」というものがあり、相手の発していることを感じる際に静けさは欠かせないことのように思います。この関係性を探るワークに相手の目を見ながらというルールを加えてみたところ、急にざわざわとなりました。目に力が入っているわけではないのに、目力は二人の関係の中に深く影響するようで、感覚を拓くという意味では視線の在り方も含めて、これからもトライしてみたいです。

11月は床の上の人を起こすというワークをしました。いかにシンプルに倒れている人を立ち上がらせるかというワークです。この夏はほとんど駆け足でここの部分を進めてしまったので、少し丁寧にトライしてみました。どの方向から、どのように手を差し伸べて、立ち上がるきっかけを与えるのか。倒れている人は自分に差し伸べられた手をどう受け入れて、どう立ち上がるのか。まずは二人組でどんな方法があるのかを探り、そこから出てきた方法を共有してトライしてみました。50:50のワークを通して、人のからだに触れること、触れられることへの壁がなくなるようで、床の上の人にきちんと触れることができる様子が見受けられました。きちんと触れるからこそ、そこに応えることができるように思います。うまく伝わらなくても、その経験は次に活かされ、繋がっていきます。何もしなければ、何も起こらないのは当然のこと、今目の前で起きていることにいかに関わっていくのか、どう手をだすのか…一人一人のトライの仕方、向き合い方はちがいますが、人が人に手を差し伸べる瞬間はどの瞬間も美しく感じました。

そしていよいよ、まとめのワークです。

10月は人を抱きしめて、抱きしめられた人は床に落ちて、自分で立ち上がり、人を抱きしめるというワークでした。11月は自分で立ち上がるのではなく、誰かに起こされことで立ち上がることができるというルールに変更しました。

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参加者のみなさんにまとめのワークの名前を考えてもらいました。廻り合い、遺伝子、次世代ハンカチ落とし、神の手、溶かす、えのき、輪廻転生、Bound、Trace、metamorphosis、Touch to Interact...などいただきました。これらの言葉をヒントに想像してみてください。繰り返しが人の生き死にを感じさせ、抱きしめる時に相手の体の一部を型取ることで体の記憶となり、その人を抱きしめる人へと受け継がれてゆく。行き先はないけど、ここではないどこかへ向かう感じ。抜け殻だとか、生き物が変化していく感じ、そのサイクルを感じさせる。その人の形、体温、2人の間に生まれた圧がすり抜けられて残った人の身体に跡を残していたような感じ。

私は今回の最後のまとめのワークを見ていて、人の温かさや虚しさという感情が伝わってきて、心を持っていることって美しいと感じました。シンプルな動きだからこそより感情が伝わってきたように思います。そしてみんなの中から、次はこうしてみたいという前向きな言葉が聞けたことがうれしかったです。連続して参加した人も、1回だけの人も何かしらを持ち帰ってもらえたように感じました。

将来的には全くダンスをしたことがない人にもこのワークに参加したり、実際に体を動かせない人にもこのワークを見てもらったりしたいと思います。