子どもの表現は場所を選ばない
2020年の私がボディシナジーの親子のクラスやスペシャルワークショップに関わらせていただいた時間を振り返ると、やはりコロナの影響により変えざるを得なかったオンラインというプラットホームが際立ちます。
オンラインに変わった事で、実際のフィジカルな空間を借りる必要もなくなったし、講師も受けてくださる親子も移動する手間暇も省けました。ほとんどの方が家から受けてくださるので安心感があり、親子で創作する際にはその関係が微笑ましいくらい深くなっていくのがわかります。そして何よりも私の住んでいるイギリスはロンドンからでも、日本の親子と創作活動ができるという利点です。時差という難点はありますが9時間先ゆく日本に合わせて早起きもお陰様で習慣化されました。
オンラインでやる事で、家という普段慣れている空間が遊びや物づくりの非日常的アトリエに変化した事。雑貨や家具を今まで使った事がないようなやり方で遊んでみる事で演劇の発生する劇場へと変容した事。そしていつもの風景なら親と子、という関係が何かを作る事でコラボレーターという関係性が生まれて、新しい一面が見られた事。限られていたり、見慣れているからこそ、それを可能性に変えていく機会をいただいた気がします。
子どもや親子の活動に対面に関わる時は、その空間をシェアする事で体から生まれる事、伝わる事に今までは意識を向けてきたけれど、接点がスクリーンという四角い限られた枠になってしまうと、一体どうなってしまうのだろうか、不安でした。何か見落としたり、表面的だけで終わったりしてしまわないだろうか。色々な意味で試された機会でした。
でも活動を重ねていくと、作ることや表現する魔力は全くコロナなんかに影響されていない事がわかっていきました。子どもにとって親と一緒に、しかも家という安心できる空間で、よりリラックスした状態で活動に参加してくれたようです。大人もそうですが、リラックスした状態が一番アイデアや遊び心が活発になるため、子どもの自信や好奇心、想像力がピカイチ。ちょっと恥ずかしくてもお母さんやお父さんがいるからアイデアをシェアできたり、個人個人のニーズにマッチしたやり方がオンラインで可能になった気がしました。
講師として関わらせていただくと、親子で作ったものや子どもが出してくれたアイデアを目撃できる機会があります。毎度、涙腺が緩んでしまうくらい沢山のエネルギーや感動をいただき、子どもが表現するっていう事は対面でもオンラインでもしっかり届いてくれる力があるのだな、と遠い地にいながらも感じる事ができました。2021年はもっともっとやりたい事が沢山。ワクワク感で高揚する心のまま来年を迎えたいと思います。今年もお世話になりました。ありがとうございます!
松本武士