BSK オンラインクラス Family Contact 6月クラスの様子
今週は、私の息子も2時間だけではありますが初めて毎日登校しました。3月からの家にこもりっきりの生活からすると、かなり急に感じる生活の変化。そして、確実に息子との時間が減ったことを実感しています。
ホッとしている自分と、ちょっとさみしく感じる自分と…
そして本当にニュースで報道されている感染者数は正しいのだろうか、本当に学校に通わせて大丈夫なんだろうか、という気持ちは拭いきれず、やはり常に不安と隣合わせの自分の気持ちに気づいたりもしています。一方息子は生まれて初めて一人で学校まで行ったりと、これまで味わったことのない自立心を満喫しています。とは言えたった2時間にもかかわらず慣れない生活にクタクタです。
親も子も、どのご家庭でもいっぱい頑張った一週間だったのではないでしょうか。
そんな私たちに必要なのは、親子でこれでもか!というくらいくっつく時間。
Family Contactってどんなことをやるクラスなの?の質問にお答えして、今日はクラスの内容をご紹介します。
Family Contactは、親子でお互いのからだに耳を澄ませるように、細かな重心移動や、どんなことをやりたいかの動きの意図の変化などを感じながら、親子で協力して一緒に動くクラスです。お互いをいったいどんなちから加減で触ったらいいのかには、これ、という答えはありません。相手のからだの大きさ、強さ、背の高さ、その日の状態などのあらゆる要素との「対話」から初めてその瞬間の「答え」がでてきます。
子育てをしていると、いったい自分の子どもとどんなふうに関わったらいいかわからなくなる瞬間がありませんか?例えば子どもが激しく泣いている時、そっと優しく抱きしめるのか、強く抱きしめるのか、ただ静かに隣に座って寄り添うのか、それとも一緒に泣くのか…日常の中にも親子の対話の場面は沢山あるわけですが、果たして私たちはその瞬間瞬間に小さな子どもが求めている癒しを与えられているのでしょうか。そのような時も、親子で普段から一緒に動く時間を意識的に持つことで、お互いのからだのなかで微妙に起こる変化などに敏感に反応できるようになってきます。これは、これから子どもたちが巣立って行くまでの親子間のコミュニケーションにおいて、とても有効な関係性の築き方だと思います。また子どもたちにとっても、小さな頃から他者のからだや動きに敏感に過ごせることは、他者や社会との対話がうまくできる大人への成長へとつながります。
またこのクラスのように瞬間瞬間で、あるタスクに対する答えを出そうとすることは、日々の生活の中での『問題解決』の練習にもなります。私たちの日常で答えが一つだけ、という状況は実際には少なく、常に問題解決に溢れているわけです。ですから親子で動き続けるなかで、どんどん解決策を一緒に生み出していくこのクラスのプロセスのなかで培われる即興性や柔軟性は、ますます複雑化していくこれからの社会でしなやかに生きていくためにとても大切なスキルなのではないでしょうか。
そして、親子で親密に動く時間を持つことはこんな利点もあります。
人間は好きな人とくっつくことでオキシトシンというホルモンが分泌されます。幸せホルモン、とも呼ばれるもので、触っている方からも触られている方からも、双方から分泌されるのです。ついさっきまで怒っていたのに、子どもを抱きしめた途端にジワーッと「好きだよー、さっきは怒ってごめんねー」の気持ちが溢れてくるのはこのホルモンが出ているから。Family Contactのクラスでは存分に触れ合うことでこの幸せホルモンがいっぱい分泌され、親も子ももう一度幸せな気持ちを取り戻すことができます。これは特に今の時期、双方にとってとても必要なこと。大切な家族としてのリセットの時間です。今は何かと家族みんなにとって不安な時期ですし、自粛期間を経ていままで気づいてもいなかったようなことへのストレスにも敏感になっているので、そういった意味でもこの家族時間を大切にしたいものです。
このクラスを通して、いろいろな種類の動きやタッチを感じることは、子どもたちの脳の発達にとって大変重要です。また、これからの成長の中でお友だちと関わる中でも、このくらいならやっていい、ここから先は傷つけてしまうからダメ、というのがちゃんとからだで直感的にわかるようになります。これは心の問題にも直接的に関係していきますし、今世界中で起こっているBlack Lives Matterの観点においても、肌の色なんて関係なく、人間はお互いリスペクトし、傷つけ合わずに生きていかなければ、ということが自然にわかる大人に育ってくれるでしょう。
「触る」という行為は私たちにたくさんのことを教えてくれます。Family Contactはただ家族で楽しく動く時間を超えて、からだを通してたくさんのことを親子で学ぶ時間です。お父さん、お母さんも、子どもたちと思いきり触れ合うなかで、どうぞご自分のからだを再発見し、お子さんとの関係性や、親としての在り方について振り返ってみてください。きっと日常の生活のなかでは気づけないようなたくさんのことにはっとする時間になるはずです。
息子の学校では今週で分散登校が終わり、来週から毎日フェイスシールドをつけての生活が始まります。
お友だちと触れ合わずに育っていく子どもたちにこれからどんな影響がでてくるのしょうか。
私たち大人はこれに危機感を感じながら、せめて家庭の中だけでもお互いを「触る」the sense of touchをこれまで以上に大切にしていきましょう。